旅行・イベント時の体重管理
楽しむ予定を例外扱いせず、前後の生活へなめらかに戻る。 無理をしない体づくり研究所が、生活に合わせた考え方と最初の一歩を解説します。
旅行や帰省、結婚式、飲み会、誕生日、年末年始など、普段とは違う食事を楽しむ機会は生活の一部です。体重管理をしているからといって、こうした予定をすべて避ける必要はありません。
大切なのは、旅行やイベントを「食生活が崩れる特別な日」と考えるのではなく、最初から生活の中にあるものとして扱うことです。数日間いつもと違う食事になったとしても、その前後を極端に制限するのではなく、普段の生活へ自然に戻れる仕組みを作っておくほうが続けやすくなります。
旅行やイベントでは普段どおりにできなくて当然
旅行先では外食が増え、食べる時間も変わります。イベントではコース料理やお酒、デザートなどを楽しむこともあるでしょう。普段と同じ食事量や生活リズムを完全に維持しようとすると、それ自体が大きな負担になります。
そこで、「いつもの食事を100%守る」ことではなく、「楽しみながら大きく無理をしない」ことを目標にします。
たとえば旅行中なら、朝昼晩すべてを軽くする必要はありません。昼にその土地の名物をしっかり食べる予定なら、朝は普段に近い食事にする、といった調整で十分です。
イベントの日も同じです。夕食を楽しむ予定だからといって、朝食や昼食を抜く必要はありません。強い空腹の状態で会場へ行くと、かえって食べるペースや量を調整しにくくなることがあります。
「特別な予定があるから一日中食べない」という調整より、通常の食事をある程度維持したうえで、楽しみたいところを楽しむほうが日常へ戻りやすくなります。
「食べてはいけない」より優先順位を決める
旅行やイベントでは魅力的な食べ物が多く、すべてを細かく管理するのは現実的ではありません。そこで役立つのが、食べないものを決めるよりも「何を楽しみたいか」を考える方法です。
旅先の名物料理を食べたいのであれば、そこは無理に減らさなくてもよいでしょう。一方、ホテルの部屋で何となく食べるお菓子や、特に飲みたいわけではない甘い飲み物などは、必要なら減らす余地があります。
イベントでも同様です。料理を楽しみたい人もいれば、お酒やデザートを楽しみたい人もいます。全部を我慢するのではなく、自分にとって満足度の高いものを優先します。
この考え方なら、「ケーキを食べたから失敗」「揚げ物を食べたから台無し」といった判断をしにくくなります。食事は一品だけで決まるものではなく、普段を含めた全体で考えることが大切です。
食べる量だけでなく食べ方も調整できる
旅行中に食事の内容を自由に選べない場合でも、食べ方には調整できる部分があります。
たとえば、最初から急いで食べず、会話や料理を楽しみながら食べることは比較的取り入れやすい工夫です。満腹になっているのに「旅行だから」と無理に食べ切る必要もありません。一方で、せっかく楽しみにしていた料理なら、細かな数字を気にしすぎず味わうという選択もあります。
ビュッフェでは、最初から大量に料理を取るより、まず食べたいものを選び、必要なら後から追加する方法もあります。たくさんの種類を試したい場合には、一品ごとの量を少なめにする方法もあります。
ただし、こうした工夫も義務ではありません。旅行中まで常に食事を監視しているような感覚になるなら、管理項目を減らしたほうがよい場合もあります。
飲み物は「気づかない追加」になりやすい
旅行やイベントでは、食事だけでなく飲み物も普段と変わりやすくなります。ジュース、甘いコーヒー、アルコールなどを何度も飲む機会が増えることがあります。
すべてを水や無糖飲料にする必要はありません。たとえば「食事のときは好きな飲み物を選び、それ以外は水やお茶にする」といった簡単なルールでも調整できます。
アルコールを飲む場合には、飲み過ぎそのものに注意が必要です。体重管理だけでなく、睡眠、脱水、転倒や事故などにも関係するためです。飲酒量については健康状態や服薬によって注意点が異なるため、個別の事情がある場合には医療専門職の指示を優先してください。
旅行中は意外と活動量が増えることもある
旅行では食事量が増える一方、普段より歩くこともあります。観光地を歩いたり、駅や空港を移動したりするためです。
だからといって「食べた分を歩いて消費しよう」と考える必要はありません。食事に対する罰として運動する考え方は、長期的な習慣には結びつきにくいことがあります。
歩ける場所なら歩く、景色を見ながら散策する、ホテルで軽く体を動かす、といった程度で構いません。
逆に、移動の多い旅行では思っている以上に疲労がたまることもあります。疲れているのに運動量を確保しようとして無理をする必要はありません。旅行中は楽しむことや休息も含めて予定を考えます。
帰宅後に体重が増えても、すぐに結論を出さない
旅行から戻って体重計に乗ると、出発前より増えていることがあります。しかし、その増加をすべて体脂肪の増加と考えることはできません。
外食では普段より塩分が多くなりやすく、水分の保持によって体重が変動することがあります。食べた物や飲んだ物が消化管に残っていることもあります。睡眠、排便、月経周期などによっても体重は動きます。
そのため、旅行翌日の数字だけを見て「太ったから急いで戻さなければ」と判断する必要はありません。
体重を記録している人であれば、普段と同じ条件で測定を続け、数日からある程度の期間の傾向を見るほうが状況を把握しやすくなります。
体重測定によって強い不安が生じる場合には、旅行直後は測定しないという選択もあります。
帰宅後の「帳尻合わせ」は必要ない
旅行中にたくさん食べたと感じると、翌日から食事を大幅に減らしたくなることがあります。しかし、極端な食事制限や断食によって帳尻を合わせようとすると、空腹が強くなり、その後の食生活が不安定になることがあります。
帰宅後にすることは、特別なリセットではなく「普段に戻す」ことです。
朝食を普段どおり食べる、いつもの昼食に戻す、野菜やたんぱく質を含む普段の夕食を食べる、水分を適度に取る、いつもの時間に寝る。こうした普通の行動で構いません。
旅行前に特別な準備食を行う必要も、旅行後に「デトックス」などと称して特定の食品だけを取る必要もありません。
調整するのであれば、「今週は外食が多かったから、次の数日は家で普段の食事をする」くらいの穏やかな方法が現実的です。
予定の前にできる小さな準備
旅行やイベントで毎回食生活が大きく乱れると感じる場合には、出発前に一つか二つだけ対策を決めておくと楽になります。
たとえば、
- 朝食はできるだけ普段に近いものを選ぶ
- 移動中の飲み物は水やお茶を基本にする
- 食べたい名物料理を事前に一つ決めておく
- 空腹になりすぎそうなら簡単な間食を用意する
- 帰宅翌日の食事を簡単に準備しておく
といった方法があります。
特に帰宅後の準備は役立ちます。旅行で疲れて帰ってきた日に冷蔵庫が空だと、再び外食や買い込みになりやすいためです。
冷凍ご飯、冷凍野菜、卵、豆腐など、自分が普段食べている簡単な食品を用意しておくだけでも、通常の生活へ戻るきっかけになります。
すべてを行う必要はありません。毎回一つだけ試して、自分に合うものを残していけば十分です。
うまくいかなかった旅行も「失敗」にしない
予定より食べ過ぎたり、お酒を飲み過ぎたり、ほとんど体を動かさなかったりする旅行もあります。
そのときに「せっかく続けてきたのに全部無駄になった」と考えると、旅行後まで食生活が崩れやすくなります。
一度の旅行を評価するより、「次の食事をどうするか」を考えます。
昼に食べ過ぎたなら、夕食を罰のように抜く必要はありません。空腹の程度を確認しながら普段に近い食事を選びます。旅行全体で食べ過ぎたと感じたなら、帰宅後から通常の習慣へ戻します。
改善点がある場合も、「次は食べない」ではなく具体的に考えるほうが役立ちます。
たとえば、前回は移動中に空腹になりすぎたなら次回は間食を持つ、ビュッフェで食べ過ぎたなら次回は最初に少量ずつ取る、といった具合です。
体重管理では、予定外の出来事が起きないことより、起きたあとに戻れることのほうが重要です。
旅行やイベントまで含めて続けられる方法を探す
長く体重管理を続けるなら、旅行、外食、祝い事、年末年始などを完全に避けることは現実的ではありません。
だからこそ、「イベントのない理想的な生活」でしか成立しない方法ではなく、イベントがあっても続けられる方法を探す必要があります。
普段はある程度整った食事をする。旅行では楽しむ。帰ったら特別な罰やリセットをせず普段へ戻る。この往復ができれば、旅行そのものを体重管理の敵にする必要はありません。
妊娠中、持病がある、服薬している、医療上の食事制限を受けているといった場合には、一般的な体重管理とは考え方が異なることがあります。また、食事や体重への不安が強い、過食と強い制限を繰り返している、摂食障害の経験がある場合には、自己判断で食事制限を強めず、必要に応じて医師や管理栄養士などの専門職へ相談してください。
旅行やイベントを楽しむことと、普段の生活を整えることは両立できます。特別な日をなくすのではなく、特別な日があっても戻れる日常を作ることが、無理の少ない体重管理につながります。