無理しない体づくり研究所

食事・運動・睡眠を、急がずつなげて整える。

食物繊維を増やす第一歩

急に増やしすぎず、主食・野菜・豆類などから少しずつ足す。 無理をしない体づくり研究所が、生活に合わせた考え方と最初の一歩を解説します。

食物繊維とは何か

食物繊維は、食品に含まれる成分のうち、人の消化酵素では消化されにくいものの総称です。野菜だけに含まれるものではなく、穀類、豆類、いも類、きのこ、海藻、果物など、さまざまな植物性食品から摂ることができます。

食物繊維には性質の異なるものがあり、大きく水に溶けやすいものと溶けにくいものに分けて説明されることがあります。ただし、普段の食事で種類を細かく分類しながら食べる必要はありません。特定の食品だけに頼るより、複数の食品群を組み合わせるほうが現実的です。

食物繊維は便通との関係で知られていますが、それだけが役割ではありません。食物繊維を含む食品を日常的に取り入れることは、食事全体の質を考えるうえでも重要です。一方で、「食物繊維をたくさん摂れば健康になる」と単純化することはできません。健康状態は食事全体、運動、睡眠、喫煙や飲酒、持病など多くの要因に左右されます。

最初に考えたいのは「減らす」より「足す」こと

食生活を整えようとすると、白米をやめる、パンを禁止する、お菓子を完全に断つといった「何を減らすか」に意識が向きがちです。しかし、食物繊維については、まず現在の食事に何を少し足せるか考える方法があります。

たとえば、いつもの食事に野菜のおかずを一品加える、みそ汁にきのこや野菜を入れる、豆類を少量使う、といった方法です。主食についても、白米や白いパンを完全に避ける必要はありません。無理なく食べられるのであれば、麦を混ぜたご飯、全粒粉を使ったパン、そばなどを選択肢に加える方法があります。

大切なのは、一度に食生活全体を変えようとしないことです。「毎日完璧に食物繊維の多い食事をする」よりも、「今より一品増やす」「週に何度か選択を変える」といった小さな変更のほうが続けやすい場合があります。

主食から増やす

食物繊維というと野菜を思い浮かべやすいものの、主食も見直せるポイントです。

穀類は毎日の食事に登場しやすいため、一部を食物繊維を含む食品へ置き換えると、特別な料理を増やさなくても食事を調整できます。

たとえば白米だけだったところに麦や雑穀を混ぜる、普段とは違う種類のパンを試してみるといった方法があります。ただし、全粒穀物などの味や食感が苦手であれば、無理に全面的に置き換える必要はありません。

「白い主食は悪い、茶色い主食は良い」と二分する必要もありません。主食はエネルギー源でもあります。食物繊維を増やすために主食そのものを極端に減らしてしまえば、別の問題につながる可能性があります。

現在の食事を大きく崩さず、一部を変えるという考え方で十分です。

野菜は種類と調理方法を広げる

野菜を増やす場合、生野菜だけにこだわる必要はありません。

サラダを大量に食べようとすると、量が負担になったり、毎日の準備が面倒になったりすることがあります。加熱した野菜、汁物、煮物、炒め物、冷凍野菜なども利用できます。

たとえば、

- 朝食のみそ汁やスープに野菜を加える

- 昼食に小さな副菜を一つ付ける

- 夕食の炒め物にきのこを加える

- 冷凍野菜を常備する

といった方法なら、現在の生活に合わせて調整しやすくなります。

「野菜を毎回大量に食べる」という目標より、「野菜がほとんどない食事を少し減らす」という見方もできます。

豆類、きのこ、海藻も選択肢になる

食物繊維を増やす方法を野菜だけに限定すると、食事が単調になりやすくなります。

豆類は食物繊維を含むだけでなく、種類によってはたんぱく質なども摂れる食品です。納豆、豆を使った料理など、普段の食事に取り入れやすいものから選べます。

きのこは汁物や炒め物に追加しやすく、海藻も料理によっては少量から取り入れられます。乾燥品や冷凍品など、保存しやすい食品を利用すると、「食物繊維のために毎回特別な料理を作る」という負担を減らせます。

一つの食品を「最強の食物繊維食品」のように考える必要はありません。複数の食品を無理なく食べることのほうが、食事全体を整えやすくなります。

果物も食品全体で考える

果物にも食物繊維を含むものがあります。甘みがあることを理由に、体重管理中は果物を完全に避けるべきだと考える必要はありません。

ただし、果物と果汁飲料は同じものとして扱わないほうがよいでしょう。食品をそのまま食べる場合と、ジュースなどに加工されたものでは、食物繊維の量や食べ方が異なることがあります。

一方で、「健康によいから」と大量に食べる必要もありません。食物繊維は果物だけから摂るものではないため、主食、野菜、豆類などと組み合わせて考えます。

急に増やしすぎない

これまで食物繊維の少ない食生活だった人が、急に大量の野菜、豆、全粒穀物などを食べ始めると、お腹の張り、ガス、腹部の不快感などが起こる場合があります。

そのため、一度に食事を大幅に変更するより、少しずつ増やしながら体調を確認するほうが安全です。

たとえば最初の段階では、「夕食に野菜かきのこを一品足す」だけでもかまいません。それに慣れてから主食を一部変える、豆類を取り入れるなど、段階的に選択肢を増やしていきます。

水分摂取も重要ですが、「食物繊維を摂ったから大量の水を飲まなければならない」と機械的に考える必要はありません。発汗量、気温、運動量、健康状態などによって必要な水分量は変わります。普段の水分補給を極端に制限しないことを基本に考えます。

加工食品も表示を見ながら利用できる

食物繊維を増やすために、すべての食事を手作りする必要はありません。

市販のパン、シリアル、冷凍食品、総菜などにも、食物繊維を含む商品があります。包装された食品では栄養成分表示を確認できる場合があるため、似た商品を選ぶときの参考になります。

ただし、食物繊維の数字だけで食品の良し悪しを決めるのは適切ではありません。エネルギー、塩分、脂質、糖類などを含め、食品全体を見て選ぶことが大切です。

「食物繊維が入っているから、いくら食べてもよい」という意味でもありません。

また、食物繊維を添加した飲料や加工食品だけで不足を補おうとするより、可能な範囲で通常の食品から摂ることを基本にすると、ほかの栄養素も含めた食事を組み立てやすくなります。

食物繊維だけで体重を判断しない

食物繊維を含む食品を増やしたとしても、それだけで一定量の減量が起こるとは限りません。体重はエネルギー摂取と消費だけでなく、水分量、食事内容、排便などによって短期的にも変動します。

食物繊維を増やした結果を、翌日の体重だけで評価する必要はありません。

健康を考えるときも、体重やBMIだけを見るのではなく、食生活、運動習慣、睡眠、血圧、血液検査など複数の情報を組み合わせて考える必要があります。

食物繊維を増やす目的は、体重の数字だけを動かすことではなく、日々の食事を無理のない範囲で整えていくことと考えるとよいでしょう。

便秘があれば食物繊維だけで解決しようとしない

便秘対策として食物繊維を増やすことが話題になりますが、便秘の原因は一つではありません。食事、水分、活動量、生活リズム、薬、病気などさまざまな要因が関係する可能性があります。

そのため、食物繊維を増やせば必ず便秘が改善すると断定することはできません。人によっては種類や量によって腹部症状が強くなることもあります。

強い腹痛、血便、嘔吐などの症状がある場合や、便通の異常が長く続く場合、急に状態が変化した場合には、食事だけで対処し続けず、医療機関への相談を検討してください。

特別な事情がある場合は個別に考える

妊娠中や授乳中、消化器系を含む持病がある場合、治療中の場合、薬を服用している場合などは、一般的な食生活の情報をそのまま当てはめられないことがあります。

医療上の理由で食物繊維や特定の食品について指示を受けている場合には、その指示を優先してください。

また、摂食障害がある、または食事制限への不安やこだわりが強くなっている場合には、「食物繊維をもっと摂らなければならない」という新しいルールを増やすことが負担になる場合があります。健康情報を理由に食品を次々と禁止する方向へ進まないことも重要です。

サプリメントについても、食事から十分摂れないと感じたからといって、自己判断で大量に使用する必要はありません。必要性は食生活や健康状態によって異なります。

最初の一歩は小さくてよい

食物繊維を増やすために、明日から食事を完全に作り替える必要はありません。

最初は「いつものみそ汁にきのこを入れる」「昼食に野菜の小鉢を付ける」「ときどき麦入りご飯にする」「納豆や豆料理を取り入れる」といった一つの変更で十分です。

続けられそうなら、そこから少しずつ選択肢を増やします。合わなければ別の食品や方法に変えてもかまいません。

食物繊維は特別な健康食品から摂るものではなく、普段の主食、野菜、豆類、きのこ、海藻、果物などに含まれています。何かを極端に禁止するのではなく、日常の食事に少しずつ食品の種類を足していくことが、無理なく取り組む第一歩です。

この記事は一般的な健康教育のための情報です。症状や治療に関わる判断は、医療者に相談してください。