無理しない体づくり研究所

食事・運動・睡眠を、急がずつなげて整える。

夜のスマホと睡眠の距離

禁止のルールより、置き場所や通知設定で負担を減らす。 無理をしない体づくり研究所が、生活に合わせた考え方と最初の一歩を解説します。

夜のスマートフォンは、寝る前の時間に自然に入り込みやすいものです。連絡の確認、動画、ニュース、SNS、電子書籍など用途は多く、「寝る前は一切使わない」と決めても続かないことがあります。

睡眠を整えるために大切なのは、スマホを悪者にして完全に禁止することではありません。寝る直前まで使ってしまう理由を考え、置き場所や通知、使う内容などを少し調整して、眠る時間との距離をつくる方法があります。

一方、寝つきの悪さや日中の眠気はスマホだけで決まるものではありません。仕事の疲労、ストレス、起床時刻、運動、食事、カフェイン、寝室環境、体調など、複数の要因が関係します。夜のスマホ対策も、その一つとして考えるのが現実的です。

夜のスマホで起こりやすいこと

スマホを使うと必ず眠れなくなるわけではありません。同じように使っていても、睡眠への影響の感じ方には個人差があります。

ただし、寝る前のスマホには、睡眠時間を圧迫しやすいいくつかの特徴があります。

たとえば「5分だけ見る」つもりだった動画やSNSが、そのまま30分、1時間と続くことがあります。スマホそのものより、寝る予定だった時間が後ろにずれてしまうことが問題になる場合もあります。

また、仕事の連絡、ニュース、対人関係のやり取りなど、内容によっては気持ちが高ぶったり、不安になったりすることがあります。ゲームや短い動画など、次々と続きを見たくなるコンテンツも、区切りをつけにくい場合があります。

画面からの光も睡眠との関係が研究されていますが、「特定の色の光だけを避ければ問題がすべて解決する」と単純には考えられません。画面の明るさだけでなく、使用時間が延びることや、内容によって覚醒した状態が続くことも含めて考える必要があります。

「使わない」より「終わりやすくする」

夜のスマホ対策というと、「就寝の何時間前から完全禁止」といったルールを思い浮かべるかもしれません。しかし、家族との連絡や翌日の確認など、夜にもスマホが必要な人は少なくありません。

禁止のルールが続かないなら、まず「どこで使い終えるか」を決める方法があります。

たとえば、ベッドに入ってから見る習慣があるなら、スマホを見る場所をベッド以外に変えます。リビングの椅子で最後の確認をしてから寝室へ行く、充電場所を枕元から少し離す、といった方法です。

重要なのは、必ず別室に置かなければならないということではありません。目覚まし時計として使っているなら、ベッドから手を伸ばしてすぐ触れる場所ではなく、少し離れた棚に置く方法もあります。

「我慢して触らない」より、「触るために一度起き上がる必要がある」環境のほうが、自然に区切りをつけやすい人もいます。

通知を減らして夜の中断を少なくする

寝る準備をしているときに通知が届くと、それをきっかけに再びスマホを使い始めることがあります。

必要のない通知を減らしたり、夜間だけ通知を制限したりすることは、比較的取り組みやすい調整です。

すべての通知を切る必要はありません。家族からの緊急連絡など、受け取りたい通知だけ残す方法もあります。端末によって機能は異なりますが、おやすみモードや集中モードなど、時間帯によって通知を制限できる機能が用意されていることがあります。

特に、ニュース、ショッピング、ゲーム、SNSなど、すぐ確認する必要がない通知は、夜間に表示する必要があるか一度見直してみてもよいでしょう。

通知を減らすことは睡眠のためだけではなく、「自分から開いたときだけ見る」という使い方に近づける工夫でもあります。

画面を見るなら刺激を小さくする

完全にスマホをやめるのが難しい場合は、寝る前に何を見るかを変える方法もあります。

仕事のメール、議論の多いSNS、刺激の強い動画などは、内容によって気持ちが仕事モードや活動モードに戻りやすくなります。一方、翌日の天気を確認する、静かな文章を読む、といった短時間で終えやすい用途なら、比較的区切りをつけやすい場合があります。

画面の明るさを必要以上に高くしないことや、端末の夜間表示機能を利用することも選択肢です。ただし、表示を暖色系に変えたから何時間でも使ってよい、という意味ではありません。

設定変更は補助的な工夫と考え、使用時間や内容、就寝時刻も一緒に見直すほうが現実的です。

「何時まで」より睡眠時間を守る視点も持つ

スマホの使用終了時刻だけに注目すると、生活によっては窮屈になります。

帰宅が遅い日もあれば、休日には予定が変わることもあります。そのため、「必ず22時にスマホを終了する」と固定するより、「眠りたい時刻の前に短いスマホなし時間をつくる」と考える方法もあります。

たとえば、

- 翌日の予定を確認する

- アラームを設定する

- スマホを充電場所に置く

- 洗面や着替えを済ませる

- 照明を少し落として過ごす

- ベッドに入る

という流れを決めておくと、スマホを置くことが睡眠準備の合図になりやすくなります。

毎日同じ手順を完璧に守る必要はありません。忙しい日は短縮してもよく、続けられる形に調整することが大切です。

夜だけでなく朝のリズムも見る

寝つきが悪いと、寝る直前の行動ばかり気になりやすくなります。しかし、睡眠は一日の生活リズムとも関係しています。

休日に昼近くまで寝る、夜更かしと朝寝坊を繰り返す、といった生活では、夜になっても眠気が十分に強くならないことがあります。反対に、睡眠時間が不足している状態では、スマホをやめることだけでは疲労が解消されない場合もあります。

可能な範囲で起床時刻を大きく変えすぎないことや、日中に体を動かすこと、朝から昼間に明るい環境で過ごすことなども、生活リズムを考えるうえでの要素です。

ただし、勤務時間が不規則な人や夜勤がある人では、一般的な昼夜の生活リズムをそのまま当てはめることはできません。自分の勤務や休息の条件に合わせて考える必要があります。

疲れているのにスマホを見続けるとき

「眠いのにスマホを置けない」と感じると、自制心の問題だと思ってしまうことがあります。

しかし、仕事や家事で一日が終わり、自分の自由時間が夜しかない場合には、寝る時間を削ってでも娯楽を続けたくなることがあります。その場合、単純にスマホを禁止すると、自由時間まで奪われたように感じて続きにくくなることがあります。

こうした場合は、夜のスマホだけでなく、一日の中で休息や楽しみの時間を確保できているかも見直してみましょう。

夕食後に短い自由時間を先に確保しておく、仕事の連絡を見る時間を決める、休日に疲れをためすぎない予定にするなど、生活全体を調整したほうが改善しやすい場合があります。

ストレスが強い時期には、スマホが気分転換の役割を果たしていることもあります。その役割を無視して急に取り上げるのではなく、音楽、入浴、読書、軽いストレッチなど、自分が落ち着きやすい別の選択肢を少し増やしていく考え方があります。

眠れないときに時計とスマホを何度も見ない

なかなか眠れないと、「もう何時だろう」「あと何時間しか眠れない」と繰り返し時刻を確認したくなることがあります。

しかし、残り時間を計算するほど焦りが強くなる人もいます。枕元のスマホを何度も開き、そのままニュースやSNSを見る流れになることもあります。

時刻確認が不安を強めているなら、スマホの画面を伏せる、手が届きにくい位置に置くなど、確認回数を減らす工夫ができます。

一晩眠れなかったからといって、翌日に極端な食事制限をしたり、根拠のはっきりしないサプリメントを大量に利用したりする必要はありません。睡眠不足が続いている場合には、生活全体の状況を確認することが優先されます。

自分に合う距離を小さく試す

夜のスマホ対策は、一度に大きく変える必要はありません。

最初は「充電場所を枕元から離す」「不要な通知を一つ切る」「寝る準備を始めたらSNSを開かない」など、一つだけ試してみる方法があります。

数日からしばらく続けて、寝る時刻、寝つきやすさ、翌日の眠気、自分の負担感などを見ます。合わなければ別の方法に変えて構いません。

睡眠は毎晩同じ状態になるものではなく、仕事量、体調、ストレス、飲酒、カフェイン、運動、室温などでも変化します。「昨日よく眠れなかったから、この方法は失敗」と一晩だけで判断する必要はありません。

睡眠の悩みが続くときはスマホだけの問題にしない

夜のスマホを減らしても、睡眠の問題が続くことはあります。

強い日中の眠気が続く、眠れない状態が長く続いて生活や仕事に支障が出ている、睡眠中の呼吸について周囲から指摘される、気分の落ち込みや強い不安を伴う、といった場合には、生活習慣だけで解決しようとせず、医療機関などへの相談を検討してください。

妊娠中の人、持病がある人、薬を服用している人では、睡眠や眠気に体調や薬が関係する場合もあります。自己判断で薬を中止・変更せず、必要に応じて医師や薬剤師へ相談することが大切です。

夜のスマホとの付き合い方には、全員に共通する一つの正解があるわけではありません。完全禁止を目指すより、「寝ようと思ったときに終われる環境」をつくり、睡眠時間、疲労、生活リズム、ストレスまで含めて少しずつ調整していくことが、無理なく続けるための現実的な方法です。

この記事は一般的な健康教育のための情報です。症状や治療に関わる判断は、医療者に相談してください。