無理しない体づくり研究所

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塩分を無理なく見直す工夫

汁物・たれ・加工食品など、自分に合う入口から頻度を見直す。 無理をしない体づくり研究所が、生活に合わせた考え方と最初の一歩を解説します。

日常の食事では食塩の取りすぎを見直す

塩分を控えようとすると、「塩はできるだけ使わないほうが健康によい」と考えたくなるかもしれません。しかし、食塩に含まれるナトリウムは人体に必要なミネラルの一つで、体内の浸透圧や酸・アルカリのバランスを保つなどの役割があります。一方、日本では通常の食生活でナトリウムが不足する可能性は低いとされています。つまり、塩分は善悪で分けるより、「必要ではあるが、日常的には取りすぎにも注意したいもの」と考えるほうが現実的です。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、生活習慣病の発症予防を目的とした成人の食塩相当量の目標量として、18歳以上の男性は1日7.5g未満、女性は6.5g未満が示されています。ただし、これは一人ひとりの食事を毎日1g単位で管理しなければならないという意味ではありません。食事摂取基準は、健康な人や集団の栄養管理に使う基準であり、個人の体調や治療内容によって必要な対応は異なります。

毎日の食事で大切なのは、塩分量だけを追いかけて食事全体を苦しくすることではありません。「自分はどこから塩分を取りやすいのか」を見つけ、負担の小さいところから調整していく方法があります。

まず「塩を振る量」だけを見ない

塩分という言葉から、料理中に入れる塩や食卓で振りかける塩を思い浮かべる人は多いでしょう。しかし、実際の食事では、しょうゆ、みそ、たれ、つゆ、ドレッシングなどの調味料に加え、加工された食品などからも食塩を取ります。食品表示では、ナトリウム量をもとにした「食塩相当量」が表示されているため、気になる食品を比べるときの手がかりになります。

そのため、「料理に塩を使ってはいけない」と考える必要はありません。たとえば、自炊では薄味にしていても、汁物を毎食飲み、麺類の汁も飲み切り、味の濃い加工食品を頻繁に食べているなら、そちらを見直すほうが続けやすいことがあります。

逆に、普段から加工食品や汁物をあまり食べない人が、料理に使うわずかな塩まで神経質に削る必要があるとは限りません。何を変えるかは、現在の食生活によって変わります。

汁物は「禁止」ではなく頻度と飲み方を見る

みそ汁やスープが好きなら、減塩のために完全にやめる必要はありません。まず確認したいのは、「1日に何回飲んでいるか」「汁をどのくらい飲んでいるか」です。

毎食汁物をつけているなら、たとえば1日1回にしてみる。具を増やして汁の量を少なめにする。麺類では、麺や具を楽しみながらスープを全部飲み切らない。このように、料理そのものを禁止しなくても調整できます。

特に「汁を残す」という方法は、味付けそのものを大きく変えずに取り組めます。ラーメン、うどん、そば、鍋物なども、「食べてはいけない料理」と考えるのではなく、頻度や汁の取り方まで含めて考えると選択肢が広がります。

しょうゆ・たれは「かける」から調整する

しょうゆやソース、たれを使う料理では、最初からたっぷりかけるのが習慣になっていることがあります。ここは比較的変えやすいポイントです。

たとえば、しょうゆを料理全体に回しかける代わりに、小皿に少量取って必要な部分だけつける方法があります。ドレッシングも最初から多くかけず、足りなければ後から追加する形にすれば、味を我慢する必要はありません。

「減塩だから調味料は禁止」とすると、食事の満足感まで失いやすくなります。調味料には味や香りを整え、食事を楽しみやすくする役割もあります。量をゼロにするより、「必要なところに使う」という発想のほうが続けやすいでしょう。

酢、柑橘類、香辛料、しょうが、ねぎ、しそなど、塩味以外の風味を加える方法もあります。ただし、これらを使えば必ず塩分を減らせるわけではありません。自分がおいしいと感じる範囲で、味付けの選択肢を増やす方法として考えるのがよいでしょう。

加工食品は「食べない」より重なりを減らす

ハム、ソーセージ、練り製品、漬物、インスタント食品、総菜など、加工された食品にも食塩を含むものがあります。ただし、「加工食品だから悪い」と考える必要はありません。忙しい日に調理時間を減らせるなど、生活上の利点もあります。

見るべきなのは、一つの食品より「塩分の多いものが同じ食事で重なっていないか」です。

たとえば、インスタント麺に漬物をつけ、さらに味の濃い総菜を組み合わせる、といった食事が頻繁に続いているなら、そのうち一品を別の食品に替える方法があります。反対に、加工食品を一品使っていても、ほかの料理が比較的シンプルなら、食事全体として調整しやすくなります。

市販食品では栄養成分表示の「食塩相当量」を比較できます。似た商品を選ぶとき、「必ず最も少ない商品を買う」というルールにしなくても、普段よく食べる食品にどの程度含まれているかを知るだけで、調整する場所が見つかることがあります。

1食ごとの数字より「いつものパターン」を見る

塩分を見直すとき、一度の外食や一杯のみそ汁だけで食生活全体を評価する必要はありません。

たとえば、

といった「繰り返している行動」のほうが、見直す候補を探しやすくなります。

全部を同時に変える必要はありません。「昼の麺の汁だけ残す」「夕食の汁物を毎日から数回にする」「しょうゆを小皿に出す」のように、一つだけ試しても構いません。

減塩を長く続けることを考えるなら、「どこまで減らせるか」より「どの変更なら生活に残せるか」を見ることも大切です。

「減塩食品」も使い方次第

減塩と表示された調味料や食品を取り入れる方法もあります。ただし、それだけで食生活全体の塩分が自動的に少なくなるわけではありません。量が増えたり、ほかの食品から多く取ったりすれば、全体としてどうなるかは変わります。

また、減塩タイプの塩や調味料には、ナトリウムの一部をカリウムなどに置き換えた製品があります。腎臓の病気などでカリウム摂取について指示を受けている人では、自己判断でこうした製品に切り替えるのが適切とは限りません。持病がある場合や食事療法を受けている場合は、製品表示を確認したうえで、医師や管理栄養士などに相談してください。

暑い日や大量に汗をかく場面は別に考える

日常的な減塩と、暑い環境で大量に汗をかいたときの対応は分けて考える必要があります。高温多湿の環境では、汗とともに水分や塩分が失われ、熱中症につながることがあります。厚生労働省も、熱中症が疑われる場合などには状況に応じた水分・塩分の補給を案内しています。

熱中症が疑われる場合は涼しい場所へ移して体を冷やします。自力で水分を飲めない、意識や受け答えがおかしい場合は119番へ連絡し、無理に飲ませないでください。塩分を取れば解決する状態とは限りません。厚生労働省:熱中症予防のために

一方で、「夏だから塩分を多く取ればよい」という単純な話でもありません。経口補水液なども一度に大量に飲めばナトリウムを取りすぎる可能性があり、腎臓や心臓などの病気で水分・塩分について医師から指示を受けている人は、その指示を優先する必要があります。

普段の食事の減塩と、激しい運動や暑熱環境での水分・電解質補給を同じ基準で扱わないことが重要です。

数字が気になるなら、数日から1週間の食事を眺める

「自分は塩分を取りすぎているのだろうか」と気になる場合、すべての料理を細かく計量する方法だけが選択肢ではありません。

数日から1週間ほど、

を簡単に振り返るだけでも、自分なりの入口を見つけやすくなります。

食品表示を見る場合も、毎食の食塩相当量を正確に合計し続ける必要はありません。まずはよく食べる食品を何種類か確認し、「意外とここから取っている」と分かるだけでも十分な一歩です。

減らすことより、続けられる調整を見つける

塩分を見直す目的は、味のない食事を我慢し続けることではありません。ナトリウムには体に必要な役割がある一方、日本人の通常の食生活では不足する可能性は低く、生活習慣病予防の観点から食塩の取りすぎを抑える目標が設定されています。

そのため、「塩を完全に避ける」のではなく、汁物、麺のスープ、しょうゆやたれ、加工食品など、自分が繰り返し利用しているところから一つ選んでみましょう。

汁を少し残す。しょうゆをつけて食べる。加工食品が重なる日を少し減らす。栄養成分表示をときどき確認する。その程度からでも始められます。

高血圧、腎臓病、心臓病などで塩分や水分について具体的な指示を受けている人は、一般的な目安より医療者からの指示を優先してください。また、妊娠中や服薬中などで食事について不安がある場合も、自己判断で極端な減塩を行うのではなく、必要に応じて医師や管理栄養士などに相談するのが適切です。

毎日完璧に減塩できたかではなく、「以前より少し調整しやすくなったか」という視点で食生活を見直していくほうが、無理なく続けやすいでしょう。

参考資料と確認範囲

内容確認・更新:2026年10月18日。生活への取り入れ方は本サイトの整理例です。個別の診断・治療や専門家による監修を示すものではありません。

この記事は一般的な健康教育のための情報です。症状や治療に関わる判断は、医療者に相談してください。