食事量を見直す前に確認したいこと
空腹の強さ、食事の速さ、飲み物、睡眠など体重以外の要因を点検する。 無理をしない体づくり研究所が、生活に合わせた考え方と最初の一歩を解説します。
減量が思うように進まないと、「もっと食べる量を減らしたほうがいいのでは」と考えやすくなります。しかし、食事量をすぐ減らす前に確認しておきたいことがあります。
体重は食事量だけで決まるものではありません。また、同じ量を食べていても、空腹の強さ、食べる速さ、飲み物、睡眠、活動量などによって、食事の満足感や続けやすさは変わります。無理に量を減らした結果、強い空腹が続き、あとで食べすぎてしまうこともあります。
まずは「どれだけ減らせるか」ではなく、「今の食べ方や生活のどこを調整すると無理なく続けられるか」という視点で点検してみましょう。
まず確認したいのは、本当に食事量が多いのか
体重が数日増えただけでは、食事量が多すぎるとは判断できません。
体重は体脂肪だけではなく、体内の水分量、食事や飲み物の量、便通などによって日々変動します。塩分の多い食事をした翌日や、普段より多く食べた翌日に数字が増えていても、その変化すべてを体脂肪の増加と考える必要はありません。
一日の数字だけを見て食事を減らすより、ある程度の期間の傾向を確認するほうが実際の変化を把握しやすくなります。
また、体重だけではなく、
- 空腹が強すぎないか
- 食後にある程度満足できているか
- 疲れやすくなっていないか
- 普段の活動量が落ちていないか
- 睡眠がとれているか
といった状態も一緒に確認するとよいでしょう。
「体重が減っていないから食べすぎ」と単純に決めつけるのではなく、まず現在の状態を観察することが出発点になります。
空腹が強すぎないかを確認する
食事を見直すとき、摂取量だけでなく空腹の強さも重要です。
朝から強い空腹を我慢していたり、夕方になると何でも食べたくなるほど空腹になったりする場合、さらに食事量を減らすと続けにくくなる可能性があります。
たとえば昼食を軽くしすぎた結果、帰宅後に菓子やパンを次々と食べてしまうのであれば、「間食を我慢する」だけでは解決しにくいことがあります。昼食そのものの量や内容が不足していないか確認するほうが現実的です。
毎食の厳密な記録をしなくても、
「食事前の空腹は弱い・普通・強いのどれだったか」
程度を数日確認するだけでも、自分の傾向が見えてきます。
強い空腹が頻繁に起きているなら、まず食事の間隔や内容を整え、それでも必要であれば量を調整するという順番でも遅くありません。
食べる速さを見直してみる
食事量そのものを変えなくても、食べ方を変えることで満足感が変わることがあります。
忙しいと、数分で食事を終えてしまうことがあります。スマートフォンや仕事の画面を見ながら食べていると、自分がどの程度食べたのか意識しにくい場合もあります。
だからといって「一口何回かむ」と厳密なルールを作る必要はありません。
まずは、
- 最初の数口だけ少しゆっくり食べる
- 一度箸を置く時間を作る
- 食事の途中で満腹感を確認する
- できる日は画面を見ずに食べる
といった小さな工夫から試せます。
毎食実行できなくても問題ありません。夕食だけゆっくり食べるなど、できる場面を一つ選ぶほうが習慣にしやすいでしょう。
飲み物にも目を向ける
食事を減らす前に、普段飲んでいるものも確認してみましょう。
水や無糖のお茶などとは異なり、砂糖を含む飲料などはエネルギーを含みます。飲み物は食事ほど「食べた」という感覚が残らないこともあるため、本人が意識している以上に摂取量へ影響している場合があります。
ただし、「甘い飲み物は禁止」とする必要はありません。
たとえば毎日何度も飲んでいるのであれば、そのうち一回だけ水や無糖のお茶にする方法があります。大きいサイズを選んでいるなら、一段階小さいものに変える方法もあります。
コーヒーや紅茶も、砂糖やミルクを加える量によって内容は変わります。細かく計算する必要はなく、「何をどのくらいの頻度で飲んでいるか」を一度確認するだけでも十分です。
一方、飲み物を極端に減らして水分不足になることは避ける必要があります。減らす対象は水分そのものではなく、必要に応じて飲み物の種類や量を見直すという考え方が適しています。
睡眠が不足していないか
食事とは無関係に見える睡眠も、食生活を整えるうえで無視できません。
睡眠が不足している日は、普段より空腹を強く感じたり、高エネルギーの食品を選びやすくなったりすることがあります。また、疲れていると自炊や運動が面倒になり、生活全体のリズムも崩れやすくなります。
その状態で「意志が弱いから食べすぎた」と考えるより、睡眠不足によって食生活を整えにくくなっていないか確認するほうが役立つ場合があります。
毎日理想的な睡眠時間を確保することが難しい人もいるでしょう。その場合も、いきなり生活を大きく変える必要はありません。
就寝時刻を少し早める、寝る直前の作業を一つ減らす、休日だけ極端に生活時間を変えない、といった実行できる範囲から調整します。
仕事や育児などで睡眠時間を増やせない時期には、「食事まで厳しくしすぎない」という選択もあります。
食事の内容と量を分けて考える
同じ食事量でも、何を食べるかによって満足感は異なります。
たとえば主食だけで簡単に済ませる食事が続いている場合、量だけを減らすより、たんぱく質を含む食品や野菜などを組み合わせたほうが食事全体を整えやすいことがあります。
ここでも、すべての食事を理想的な形にする必要はありません。
コンビニを利用するなら、おにぎりだけだったところに卵や豆腐、魚、肉を使った食品を一品追加する。麺類だけになりやすいなら、可能な範囲で副菜を加える。朝食をパンだけで済ませているなら、牛乳やヨーグルトなど普段取り入れやすい食品を組み合わせる、といった方法があります。
食品を「太るもの」「痩せるもの」と二分するより、普段の食事全体の組み合わせを見るほうが現実的です。
間食は回数だけで判断しない
間食をしているからといって、それだけで減量がうまくいかないとは限りません。
重要なのは、なぜ間食をしているのかです。
昼食から夕食まで長時間空くために食べているのか、仕事の習慣で何となく食べているのか、ストレスを感じたときに食べているのかでは、対応方法が変わります。
強い空腹への対応として必要な間食を無理にやめると、夕食時の食べすぎにつながる場合もあります。一方、空腹とは関係なく毎日同じ時間に食べる習慣になっているなら、「今日は本当に食べたいか」と一度確認するだけでも変化が生まれることがあります。
間食をゼロにすることを目標にせず、回数、量、食べる理由を確認してみましょう。
休日と平日の差も確認する
平日は食事をかなり抑えているのに、休日になると食事量が大きく増えることがあります。
これは必ずしも意志の問題ではありません。平日の制限が厳しすぎるため、その反動が休日に出ている可能性もあります。
その場合、休日をさらに厳しく管理するより、平日の食事を少し楽にするほうが長期的には続けやすい場合があります。
反対に、休日だけ外食や飲酒の機会が多くなっているなら、その部分だけ小さく調整する方法もあります。
一週間を通した生活を確認し、「毎日は無理でも週全体なら続けられる」という形を探すことが大切です。
食事量を減らすなら、一度に大きく変えない
ここまで確認して、それでも食事量を少し調整したい場合は、一度に複数のものを減らさないほうが変化を判断しやすくなります。
たとえば、
「夕食のご飯を極端に減らし、お菓子も禁止し、朝食も抜く」
といった変更を同時にすると、空腹や疲労が強くなっても何が原因なのか分かりにくくなります。
それよりも、
「毎日の大盛りを普通盛りにしてみる」
「習慣になっている二回目のおかわりを一度やめてみる」
など、一つだけ調整して様子を見る方法があります。
続けにくければ元に戻したり、別の方法に変えたりして構いません。調整は失敗と成功を判定する試験ではなく、自分に合う方法を探す作業です。
うまくいかない日は翌日に戻せばよい
食事を整えようとしていても、予定外に食べる日はあります。
外食、旅行、会食、祝い事などで普段より多く食べることもあれば、疲れて料理ができず、簡単な食品だけで済ませることもあるでしょう。
一回の食事を理由に、その後の食事を抜いたり、翌日に極端に減らしたりする必要はありません。
次の食事、または翌日から普段の食事に戻すほうが生活のリズムを保ちやすくなります。
「昨日食べすぎたから今日は何も食べない」という調整を繰り返すと、強い空腹と食べすぎを行き来する形になりやすくなります。
毎日完璧にすることではなく、崩れたあとに戻れる食生活を作ることを目指しましょう。
まず一つだけ点検する
食事量を見直したいと感じたとき、一度にすべてを改善する必要はありません。
最初の一週間は「夕方の空腹」だけを見る。次の一週間は「飲み物」を確認する、といった方法でも十分です。
確認する候補は、空腹、食べる速さ、飲み物、睡眠、食事内容、間食、休日と平日の差などです。
その中から、自分が変えやすそうなものを一つ選びます。
体重を減らすために食事をできるだけ少なくするのではなく、必要な食事をとりながら、余分になっている部分があれば少し調整する。このくらいの考え方のほうが、長期間続ける生活習慣として扱いやすくなります。
なお、妊娠中や授乳中の人、持病がある人、薬を使用している人、摂食障害の経験や食事への強い不安がある人では、一般的な減量方法が適さない場合があります。体調に不安がある場合や、食事を減らすことで強い体調変化が起きている場合は、自己判断で制限を強めず、医師や管理栄養士などの専門職へ相談してください。