無理しない体づくり研究所

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カルシウムを食事で考える

特定の食品だけに頼らず、食べられる選択肢を増やす。 無理をしない体づくり研究所が、生活に合わせた考え方と最初の一歩を解説します。

カルシウムは「骨だけ」の栄養素ではない

カルシウムというと、まず骨や歯を思い浮かべる人が多いでしょう。実際、体内のカルシウムの多くは骨や歯に存在し、その構造を支える重要な材料になっています。

一方で、カルシウムの役割はそれだけではありません。筋肉が収縮するときや、神経から情報を伝えるときなど、体のさまざまな働きにも関わっています。そのため、特定の時期だけ意識すればよい栄養素ではなく、日々の食事の中で継続的に取っていくことが基本になります。

ただし、「カルシウムが重要だから、とにかく大量に取ればよい」と考える必要はありません。食事では、一つの栄養素だけを切り離すのではなく、エネルギーやたんぱく質、ビタミン、ミネラルなどを含めた食事全体を見ることが大切です。

カルシウム源は牛乳だけではない

カルシウムを取ろうとすると、「牛乳を飲まなければならない」と考えてしまうことがあります。牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品は、カルシウムを取るための代表的な選択肢です。手軽に食べやすく、たんぱく質なども一緒に取れる食品があります。

しかし、乳製品だけがカルシウム源ではありません。魚、豆類や大豆製品、一部の野菜など、さまざまな食品に含まれています。

たとえば、骨ごと食べられる小魚、豆腐などの大豆製品、小松菜をはじめとする一部の葉物野菜などが候補になります。食品によって含まれる量や体内で利用される割合は異なるため、単純に「この食品が最強」と決めるより、普段の食生活に取り入れやすいものを複数持っておくほうが現実的です。

牛乳が苦手なら豆腐や小魚を使う、魚をあまり食べないなら乳製品を取り入れる、といったように、自分が食べられる食品を組み合わせて考えられます。

「毎日同じ食品」でなくてもよい

栄養について考え始めると、「毎日必ず牛乳を飲む」「毎日小魚を食べる」といったルールを作りたくなることがあります。しかし、食生活は毎日同じではありません。

朝食ではヨーグルトを食べる日があり、夕食では豆腐を使った料理を食べる日があり、別の日には魚を食べる。こうした積み重ねでもカルシウムを取る機会は作れます。

一食ごとに完璧な栄養バランスを完成させようとすると、食事管理そのものが負担になることがあります。数日からある程度の期間を通して、カルシウムを含む食品がほとんど登場していないことに気づいたら、次の買い物で一品増やしてみるくらいでもよいでしょう。

大切なのは、特定の食品を義務にすることではなく、「自分が普段食べられるカルシウム源は何種類あるか」と考えることです。

いつもの食事に一品足してみる

食生活を大きく変えなくても、カルシウムを含む食品を増やす方法はあります。

たとえば、朝食にヨーグルトを加える、汁物やおかずに豆腐を使う、葉物野菜を副菜にする、食べられる人は小魚を一品加える、といった方法です。

すでに毎日の献立を考えることに負担を感じているなら、料理の種類を増やす必要はありません。買ってそのまま食べられる乳製品や、調理しやすい豆腐、冷凍野菜などを利用する方法もあります。

「栄養のためには手作りしなければならない」と考える必要もありません。続けられることのほうが重要です。

また、一つの食品を大量に食べるより、普段の食事の中に少しずつ候補を散らしておくと、飽きにくくなります。食費、好み、調理時間、保存のしやすさなども含めて選んでかまいません。

乳製品が苦手な場合は代わりを探す

牛乳を飲むとお腹が張る、味が苦手、乳製品を避けているなど、さまざまな理由で乳製品を取らない人もいます。その場合でも、無理に牛乳を飲む必要はありません。

豆腐などの大豆製品、骨ごと食べられる魚、カルシウムを含む野菜など、別の食品から取る方法を考えられます。

植物性飲料を利用する場合は、製品によって栄養成分がかなり異なります。カルシウムが添加されているものもあれば、そうでないものもあるため、「牛乳の代わりだから栄養も同じ」とは限りません。利用するときは栄養成分表示を確認するとよいでしょう。

また、アレルギーや消化器症状などがある場合は、無理に特定の食品を試すのではなく、自分が安全に食べられる食品を優先することが大切です。

骨の健康はカルシウムだけでは決まらない

骨のことを考えるときも、カルシウムだけに注目しすぎないことが重要です。

骨の維持には、カルシウム以外の栄養素や、日々の身体活動なども関係しています。たんぱく質を含め、必要なエネルギーや栄養を食事全体から取ることも大切です。

また、食事を極端に減らすと、カルシウムに限らずさまざまな栄養素を十分に取ることが難しくなる場合があります。体重を減らしたい場合でも、主食や主菜、副菜などを過度に削り、短期間で大きく食事量を減らす方法には注意が必要です。

「骨のためにカルシウムだけを増やす」のではなく、食事量そのものが不足していないか、食品の種類が極端に少なくなっていないかを見る視点も持っておきましょう。

サプリメントは食事と同じ感覚で使わない

カルシウムはサプリメントでも販売されていますが、「食事より効率がよさそう」という理由だけで積極的に使う必要はありません。

サプリメントでは、食品とは違い、特定の成分を集中的に摂取できます。そのため、多く取れば取るほどよいとは限りません。ほかのサプリメントや医薬品と併用している場合には、成分が重複したり、薬の利用に影響したりする可能性もあります。

普段の食事でカルシウムを含む食品をほとんど取れないなど、補助的な摂取を検討する事情がある場合には、自分の判断だけで量を増やし続けるより、必要に応じて医師や管理栄養士、薬剤師などに相談するほうが安全です。

食事から取ることと、サプリメントとして特定成分を補うことは、同じものとして考えないようにしましょう。

年齢や体の状態によって考え方は変わる

必要な栄養量や食事の組み立て方は、年齢、性別、生活状況などによって異なります。また、妊娠中や授乳中、成長期、高齢期などでは、普段以上に栄養状態へ注意が必要になることがあります。

腎臓などの持病がある人や、医薬品を使用している人では、一般的な健康情報をそのまま当てはめることが適切でない場合もあります。食品やサプリメントの摂取量について医療機関から指示を受けている場合は、その指示を優先してください。

また、食事への不安が強く、「カルシウムを取らなければ」と考えることが新たな食事制限や強迫的な管理につながっている場合には、栄養素の計算をさらに細かくすることが解決になるとは限りません。

「食べられる選択肢」を増やしていく

カルシウムを食事で考えるときに便利なのは、一つの食品に頼ることではなく、自分にとって使いやすい選択肢をいくつか持つことです。

牛乳を飲めるなら牛乳、ヨーグルトが好きならヨーグルト、豆腐をよく食べるなら豆腐、魚を食べる習慣があるなら骨ごと食べられる魚、野菜ならカルシウムを含むものを献立に加える、といった具合です。

すべてを毎日食べる必要はありません。まずは普段の食事を振り返り、「自分はどの食品なら無理なく続けられそうか」を考えてみましょう。

カルシウムのために食生活全体を作り替えるのではなく、いつもの食事の中に選択肢を一つずつ増やしていく。そのくらいの取り組み方でも、長く続ける食生活では意味があります。

栄養は一回の食事で完成させるものではありません。特定の食品を「食べなければならないもの」にするより、さまざまな食品を利用しながら、自分の生活に合った形でカルシウムを取る機会を作っていきましょう。

この記事は一般的な健康教育のための情報です。症状や治療に関わる判断は、医療者に相談してください。